

診療案内
Skin
皮膚ってじつは複雑なのです
皮膚に関する問題は、一度は経験するものだと思います。実際に、皮膚の問題で動物病院に来院される動物たちは多いです。ただ、この皮膚に関する治療は実は複雑なのです。みなさんがお気づきになる症状としては「痒み」や「赤み」、「脱毛」などが多いかと思います。これらの症状を起こしてくる原因は、細菌・真菌(カビ)など感染、アレルギー、免疫疾患、内臓系など様々です。しかも、これらが複合して起こっていることが多いのです。
~検査・診断から治療へ~
これらの様々な原因で起こる「皮膚病」を治療するためには、それらをひとつひとつ診断して、どういった治療が必要かを検討していかなければいけません。そのために、症状や見た目などからどういった検査が必要かをお話しながら、治療をすすめていきます。検査としては、皮膚スタンプ検査、抜毛検査、皮膚掻爬(ソウハ)検査、血液検査、ホルモン測定、皮膚病理検査、血液IgE検査(アレルギー検査)など沢山あります。必ずしも全てが必要ではなく、これらの中から何が必要かを検討・説明いたします。
~ご家族の協力が必要です~
どの病気でも言えることなのですが、特に皮膚の診断・治療ではご家族であるみなさんにもご協力いただき治療していくことが重要になります。よくどこを掻いている・いつぐらいから症状があるかなど普段の様子。食事管理やシャンプー、塗り薬、投薬など、治療でもご自宅で行っていただくことが多いのも皮膚疾患の特徴かもしれません。
~だからこそできるだけ負担は少なく~
家族である動物への負担などもあり、必要な時以外は極力負担の少ない治療を行なってあげたいと私たちは考えています。痒みを抑えるために必要な場合にステロイドを使用することはあります。ただ、それ自体は治療ではなく緩和であることが多いです。原因となるものを特定し、それにあった治療を探していき少しでも体への負担が少なくできることを目指します。治療内容によってはご家族の負担になることもあるかと思いますので、しっかりと相談しながら治療計画を立てていくように私たちは心がけています。何か思うことがあればみなさんからも相談していただけると助かります。皮膚の病気には、すぐに良くなってくれるものもあれば、治療に時間がかかるものもあります。だからこそ、情報の共有をしながらできるだけ無理のない治療を提案していければと思います。


Contraception,
Castration surgery
糸を体内に残さない
避妊・去勢手術
多くの動物病院でもっとも多く行われている手術といえば避妊・去勢手術だと思います。一般的には精巣や卵巣・子宮などの血管を外科用の縫合糸で縛り、その糸を体内に残す方法がとられています。しかし、この体内に残した縫合糸が引き起こしてしまう「縫合糸反応性肉芽腫」という病気が数多く報告されています。
~縫合糸反応性肉芽腫~
みなさんはこの「縫合糸反応性肉芽腫」という言葉を耳にされたことがあるでしょうか?これは、手術の際に使用された縫合糸に対して、数ヶ月〜数年後に体が反応して、手術した部位が腫れたり、肉芽腫というしこりをお腹の中に作ったりする病気です。また、これに関連して皮膚にも”しこり”ができ、そこから膿が出たりするような病気になってしまうことがあります。もし、このような症状が出た場合は、手術でその糸を取り除かなければなりません。摘出が不可能なほど癒着や周囲の組織をまき込んでしまっていたりしている場合には、ステロイドや免疫抑制剤などを飲ませて症状をコントロールしてあげることになり、この投薬はほとんどの場合一生続けなければいけません。この「縫合糸反応性肉芽腫」はどのような犬種でも起こりえる病気です。特にミニチュアダックスフントでの報告は多く、最近ではチワワ、シェルテー、トイプードル、マルチーズなどでも報告が増えています。また、Mixの子での報告もありますので、純血種の子にだけ起こるわけでもありません。どの子に起こってしまうかわからないため、予防方法としては縫合糸を体に残さないことになります。
~糸を体内に残さない避妊・去勢手術~
「縫合糸反応性肉芽腫」を少しでも起こさないように体内に糸を残さない避妊・去勢手術をすべてのご家族におすすめしています。当院では、人間の手術でも使用されている『LigaSureSystem(リガシュア)」を使用して、安全かつ確実に血管をシーリング(熱による組織融合)し、体内に糸を残さない避妊・去勢手術を行なっております。他にも利点としては結紮する時間の短縮にもつながるので、そのぶん麻酔時間も短くできるということがあります。この「LigaSureSystem」では径7mmまでの血管を確実に閉鎖可能で、通常の動脈血の3倍以上である糸による結紮と変わらない程度の血圧まで耐えることができます。現在、全国の動物病院で導入されている機械で、これからさらに増えてくることと思います。これから避妊・去勢手術をお考えのご家族は、ぜひご相談ください。



Tooth
じつはみんなが
気になっている
歯のこと
みなさんは家族である動物の口の臭いが気になったことはありませんか?おそらく多くの方が気になっていることと思います。
~動物でも歯科は大切です~
人と同じように動物でも歯のケアは大切なのです。最近では、歯ブラシ・デンタルペースト・歯磨きガム・サプリメントなど色々なデンタルケア用品があります。人と同じように口腔内の環境の違いで、歯石のつきやすさなど違いがあり歯石がつきやすい子もいれば、そうでない子もいます。歯石がある程度ついてしまっている子は歯肉炎や歯周病をおこしたりもします。そんな子たちは食事の時も口を気にしたりして、食べる楽しさも半減してしまうことでしょう。歯が痛いときに食事を楽しめないのは人も同じですよね。そうならないようにする予防的なケアをお手伝いできればと思います。
~歯周病は歯だけの問題ではありません~
歯周病は全身にさまざまな問題をおこすことはよく知られていますから、そうなる前にできることをしてあげるのが重要だと思います。また、歯周病を起こしている歯をそのまま放置していると骨まで溶かしてしまうので、抜歯をしてあげなければならない状況にまでなってしまいます。
~歯石除去や抜歯など歯科処置~
歯石がついてしまい歯肉炎や歯周病を起こしてしまっている場合には、麻酔をかけての歯石除去や歯科処置が必要になります。こういった処置をすることで、口の痛みが軽減して食欲が出てくれたり、生活の質の向上などにもつながります。治療をした子のご家族からも「口の臭いがなくなって、一緒に遊ぶ時間が増えた」など嬉しい報告を受けたことも多いです。
~家庭と病院でのサポート~
歯のケア・治療は少し大変だと思いますが、その子だけでなくご家族も嬉しくなれるとても大切なものだと私たちは考えています。少しでも嬉しい報告をしていただけるように全力でサポートさせていただきますので、気になることがあれば気兼ねなく相談されてくださいね。

